自身の経験が、社会を変えるアクションに。
次世代女性リーダーの視座——TMIPランチコミュニティは開催100回目を迎えました!

Sorry, this entry is only available in 日本語.

東京・丸の内エリアで大企業の新規事業創出を支援するオープンイノベーションプラットフォームTMIP(Tokyo Marunouchi Innovation Platform)が主催する「TMIPランチコミュニティ」。コミュニティメンバーとの出会いや情報交換を通じて「新しいアイデアやプロジェクトが生まれるきっかけの場」として好評をいただいている本イベントは2026年4月、ついに開催100回目を迎えました!

TMIP会員限定のイベント「TMIPランチコミュニティ」(https://www.tmip.jp/ja/event/10719

今回は特別編として、新丸ビル10Fのビジネス支援型シェアオフィス「EGG」を会場に、『女性のキャリアとライフステージにおける「未充足ニーズ」×新規事業』を開催。自身の経験から、キャリアやライフステージにおける障壁を解消するために、自ら新規事業を立ち上げた3名の女性リーダーにお話を伺いました。(TMIPランチコミュニティのテーマや登壇者は毎回異なります)

今回の会場は新丸ビル10Fのビジネス支援型シェアオフィス「EGG

経済メディアが挑む、ジェンダーギャップ解消とコミュニティ(株式会社ユーザベース 「NewsPicks for WE」編集長 川口あい氏)

最初に登壇したのは、経済メディア「NewsPicks」において、働く女性のキャリアやダイバーシティに関する情報を発信するプロジェクト「NewsPicks for WE」を立ち上げた川口あい氏。今なお男性読者の比率が高い「NewsPicks」において、2021年に本プロジェクトを始動させた背景には、現場の課題感と、経済メディアとして果たすべき役割、個人の体験という3つの掛け合わせがあったそうです。

株式会社ユーザベース 「NewsPicks for WE」編集長 川口あい氏

「専業主婦をしていた20代の頃に、社会から切り離されたような感覚に陥ったんです。キャリアが断絶され、そこから復活できるのかという不安……女性にとって、ライフステージが変わることとキャリアを両立させることがいかに難しいのかを実感しました。そういった経験に加え、日本におけるジェンダーギャップ指数で、特に政治・経済分野が著しく低いことや、女性が活躍できる制度はあってもカルチャーが変わらない組織の壁、働く女性が抱える個人の壁を課題視したことが、立ち上げのきっかけです」

事業では、次世代を担う女性リーダーのためのPodcast番組「WOMANSHIP」での発信や、国際女性デーに開催する、女性活躍やダイバーシティがテーマの「発掘系」アワード「 WE CHANGE AWARDS」などを展開。また、法人向けの研修にも力を入れているそう。女性個人だけでなく、意思決定層や組織の認識を変えることの重要性を説きます。

「課題に対し、個人の課題と組織の課題、その両軸からアプローチを仕掛けていけるのが、経済メディアである我々ならでは。現在は、女性当事者だけでなく、意思決定層や、同じ悩みを抱える他社の人事・D&I担当者に横の繋がりができる場として、コミュニティを設けるべく準備を進めています」

30分から使える家事代行サービスが目指す、家族の豊かな時間(三菱地所株式会社 「30min.」 中村瞳氏)

続いて登壇したのは、三菱地所株式会社において、家事代行サービス「30min.(サーティミニッツ)」を立ち上げた中村瞳氏。2005年に入社し、二度の産休・育休を経て2019年に社内の新規事業提案制度に応募した背景には、自身の生活が立ち行かなくなるほどの切実な想いがあったと言います。

三菱地所株式会社 「30min.」 中村瞳氏

「仕事が終わってから子どもが寝るまでが、1日の中で一番忙しい。毎日が60点、70点で過ぎていく辛さがありました。そんな時、香港で暮らす姉の生活を見て衝撃を受けたんです。姉の家には住み込みのヘルパーさんがいて、仕事から帰ると子どもの食事もお風呂も終わっている。同じ共働きなのに、住んでいる世界が違いすぎる、日本は家庭、ひいては女性に負担が寄りすぎているのではないかと思いました。私自身、他人を家に入れる抵抗感や料金の壁を感じて家事代行のサービスを利用するか2年ほど悩みましたが、初めて利用したとき、物理的な時間以上に心理的な重荷が軽くなり、救われたんです。この価値観の変化を世の中に広めたいと思ったのが、事業立ち上げの原点です」

こうして生まれた「30min.」は、30分という短時間から利用できる近隣巡回型のサービスです。不動産会社に所属している強みを活かし、同じマンション内やエリアをスタッフが効率的に回るシステムを構築し、従来の「数時間単位・高価格」という業界のスタンダードを打ち破って、30分でお風呂掃除だけ、などといったピンポイントで低価格の利用を実現しました。

2021年のローンチから4年。売上は着実に伸びていますが、中村氏は事業に邁進する中で、ある限界に直面したと語ります。

「走り続ける中で、インプットの機会が少なすぎて自分自身が枯渇していく感覚がありました。社内で新規事業を担う孤独もあり、思考をアップデートしたいという思いで、東京都の女性起業家支援プログラム『APT Women』に参加しました。そこで心理的安全性が担保されたコミュニティの力、そして視座を高め合える仲間の存在の素晴らしさを実感したんです。ネットワークを広げることは中長期的に見て自分自身の変化に繋がると確信しました」

N=1」の想いを世界へ届ける、食物アレルギー対応サービス(京セラ株式会社 『matoil』 谷美那子氏)

最後に登壇したのは、京セラ株式会社において、食物アレルギー対応サービス「matoil(マトイル)」を立ち上げた谷美那子氏。元々は携帯電話のUXデザインを担当しており、食の専門家ではなかったという谷氏が、全くの異分野で新規事業を志した裏側には、自身も重度のアレルギー当事者であるという背景がありました。

京セラ株式会社 『matoil』 谷美那子氏

京セラの中で新規事業を募集するプログラムがあり、応募を考えた時に、自分がどうしても解決したい課題をテーマにしたいと思いました。私自身にアレルギーがあったので、そこに着目して。最初の1年ほどは社外の人たちとチームを組み、京セラ社員は私一人で奔走していました。アレルギーは一人ひとり品目も症状も異なり、対応が非常に難しい。だからこそ、最初は『N1』、つまり一人のお子さんが『アニメのキャラクターが好きなお菓子を自分も食べてみたい』などといった願いを一つずつ叶えることから始めていったんです」

現在「matoil」は、特定の原材料を使わずに美味しい食事を提供するだけでなく、修学旅行先へ食事をお届けしたり、航空会社の機内特別食へ採用されるなど、その活動を世界へと広げています。しかし、大企業の中で異業種の事業を推進するには、特有の苦労もあったと言います。

「京セラは食品の会社ではないので、事例研究をする際にも突破しないとならない壁がいくつもありました。それでもあきらめずに試行錯誤を続けていると、だんだんまわりが応援してくれるようになって。創業者である稲盛和夫のフィロソフィーにも通ずるのですが、勇気をもって一歩動いて実践することで、助けてくれる仲間が増えていくのだと実感しています」

数々の壁を乗り越えてきた谷氏の原動力は、事業検証で出会ったある家族の姿でした。アレルギーを持つ子どもたちが、お母さんの誕生日にみんなで同じ食卓を囲み、夢中で食べる様子を収めた動画が、今も彼女を支えています。

「なぜこんなに大変なのに続けてこられたのか。その答えは、お客様の喜ぶ姿にあります。アレルギーという課題は国境を越えた普遍的なもの。インバウンドのお客様が涙を流して喜んでくれる姿を見て、これはもっと多くの人に届けるべきものだと確信しました。これからも、誰もが食の楽しみを諦めない社会を目指していきたいです」

それぞれの登壇者に、参加者から積極的に質問が投げかけられる質疑応答のシーンも。そして会場では、グラフィッククリエイターの春仲氏が、グラフィックレコーディングをリアルタイムで制作。当日の議論が可視化され、目も耳も楽しめる時間となりました。

リアルタイムで作成されたグラフィックレコーディング

テーブルに用意された「matoil」のアレルゲンフリー菓子を楽しみながらピッチに耳を傾けたあとは、ネットワーキングタイム。参加者が登壇者に質問を投げかける様子も見受けられました。

左)登壇者のみなさま 右)当日配布された「matoil」のアレルギーの有無に関わらず誰もが美味しく食べられる「ガレット・ブルトンヌ」

TMIPは今後も、交流イベントを通じて、多様なメンバーが注力領域を共有し、共創のきっかけを育む場を提供し続けます。TMIPコミュニティメンバーとなった際は「TMIPランチコミュニティや「TMIPビアナイト」などのTMIP会員限定イベントにお気軽にご参加いただき、新たなつながりや発見の場としてご活用ください。

LATEST REPORT